提言の背景

提言案を説明する前に、糸魚川地方における背景、課題、提言の理由について説明いたします。

姫川7.11水害による流出土砂

平成7年の7.11水害により、何らかの対応が必要となる土砂は340万立方メートルとも言われています(添付資料4)。この量は、能生のマリンドリームで埋立てのために利用された土砂の約7倍に当たるそうです(添付資料12)。このような土砂は、現在、仮置き場への移動や、災害復旧現場のブロック製作用地の造成などに利用されており(添付資料4)、半永久的な利用方法が決定されているものは少ない状態です。近い将来、こうしたブロック製作用地の跡地や仮置き土砂の有効活用が必要になってくると思われます。

地域商業の沈静化

大店法の改正などによる郊外型商業施設の新規出店、また過疎化に伴う若年人口の減少、後継者問題などにより、古くから栄えてきた既存商店街の地盤沈下が指摘されています。各商店街でも、独自に活性化策を行っていますが、その沈静化に歯止めがかからない状態といえます。現在、糸魚川駅前に観光(入込客)を目的とした施設、糸魚川タウンセンター(現:ヒスイ王国館)の建設も始まり、その効果に期待がかかりますが、これに平行して観光資源の整備が不可欠であります。幸い、既存の商店街地域は海岸線に沿って東西に長く位置しており、海岸の再生は、これら商業地域の活性化に等しく希望と活力を与えるものと思われます。

広域圏でみた産業構造と観光

糸魚川・西頸城という広域的に見た場合、製造業出荷額の約4分の3は、セメント・窯業・土石といった基礎素材型産業であり、圏内の主要産業も、セメント関連の化学産業、建設産業、建設関連産業などです。近年、加工組立型産業(電機・機械部品)や生活関連型産業(繊維・食料品)の工場誘致などにより、出荷額でみた前述の主要産業の依存度は低下傾向にありますが、新潟県全体や、上越広域圏の平均と比較しても、基礎素材型業種に依存している率は、依然として高い状態です。また、観光面では入込客数で、能生のマリンドリーム建設により50〜60万人、青海のピアパーク建設で70〜80万人の新規増加があり、この2つの施設により糸西広域圏全体で約260〜270万人と言われる入込客数の40〜50%を占めているのが現状です(添付資料8)。

長野オリンピック開催と近隣のインフラ整備

平成10年には、長野で冬期オリンピックが開催される予定です。当地域は、その開催予定会場のひとつである白馬村まで40〜50分という位置にあります。日本海側から白馬村のオリンピック会場へ向かうには、必ず糸魚川を経由しないといけません。当地域を他の地域にアピールするには絶好のチャンスとなります。また、これを契機に信州以南との道路アクセスも整備され、大町・白馬地域からの糸西の海への期待がますます高まるものと思われます。また、糸魚川近隣の近未来における高速交通網の整備(上信バイパス・上越魚沼縦貫道・北陸北線・北陸新幹線など)により、従来の移動経路や量に変化が予測されます。

課題と提言理由

こうした背景から課題点を洗い出してみると、下記の図のようになりました。課題解決の方策として、本提言書では「糸魚川海岸の渚再生」事業への取組みを提言します。

 

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